メディカル・タッチ認定看護師の活動紹介-植﨑陽子さん-

今年の春から、「メディカル・タッチ®認定インストラクターコース」が新しくスタートしました。このコースは、ハンドタッチの技術を教える“先生”になるためのコースです。現在、その学びを深めているのが、茨城県水戸市で活動中のメディカル・タッチ®認定看護師・植﨑陽子さん。

彼女の魅力は、「やりたい」と思ったらすぐに行動に移す、そのスピード感と行動力にあります。『寄り添いケア癒.mmt』という名前で、メディカル・タッチの訪問サービスや色んなイベントに出展して水戸市でメディカル・タッチ、マシュマロ・タッチを広めるために精力的に活動されています。

昨年、神戸で行われた、日本がん看護学会学術集会にも参加してくれました。

これだ!という出会いからスタート

植﨑さんがメディカル・タッチ®に出会ったのは、書店でたまたま手に取った一冊の本、私が著書の『看護にいかす触れるケア』でした。「これだ!」と直感した彼女は、すぐにスクールに連絡。
ライトコースからスタートし、在宅・緩和ケアコースを経て、現在はインストラクターコースにチャレンジ中です。

忙しい看護師時代、感じていた葛藤

26年間にわたり、訪問看護や日帰り手術の現場で働いてきた植﨑さん。
その日々の中で、常に感じていたのは「もっと寄り添いたいのに、時間に追われて難しい」という葛藤でした。

「痛いところに触れたいのに、触れられない。
患者さんの話を少し聞いても、すぐ次の業務へ…。
そんな日々が続いていました。」

それでも、ある時患者さんから「あなたでよかったわ」と言われた瞬間、心がふっと温かくなるのを感じたそうです。“医療技術”だけではなく、患者さんに“寄り添う気持ち”の大切さに改めて気づかされたのです。

「触れるケア」で、寄り添う看護を形に

しかし、現場では思うように寄り添えないことも多かった…。そんなとき、出会ったのが『看護にいかす触れるケア』の本でした。

「病気を治すことはできなくても、痛みや不安に“そっと触れる”ことで、患者さんの心が安らぐことがある」

この本との出会いが、植﨑さんの看護観を大きく変えるきっかけとなったのです。

 

「患者さんだけでなく、支えるご家族にも寄り添いケアをしたい。
だから私は、この“触れるケア”を広めたいと思いました。」

今年の3月に生活の木で講座をした際は、インストラクターコースの一環でアシスタントとして参加されました。

看護師の立場から、タッチングの大切さを伝えたい!

現在、植﨑さんは「寄り添いケア 癒.mmt」という名前で活動中。
訪問サービス、イベント出展、ラジオ出演、古民家カフェでのタッチ体験など、地域に根ざした幅広い活動を展開しています。

4月には、水戸マルシェフェスティバルに出展されました。

『ラジオつくばさん』で、タッチの大切さを発信

このマルシェで新たなご縁が広がり、5月12日(月)つくばラジオにも生出演されました。

「収録が始まる前は緊張でいっぱいでしたが、タッチの大切さや、私が大切にしている”寄り添うこど”についてお話しました。触れるケアの力を信じて!知らないことだからこそ伝えていく、使命のような気持ちで望んでいます!」

そして、古民家 Cafe & Gallery KayalGallerykayaという、とても落ち着いた素敵な空間でイベントを開催されました。看護師としての経験を活かし、ちょっとした体や心のご相談にもお応えしながら、タッチングをされています。

「手と手が触れ合う瞬間。最初は少し緊張していた方が、ハンドタッチを受けながら徐々に笑顔になっていく。言葉を交わさなくても伝わるもの、伝えられることがたくさんあると、改めて実感しました。

  『なんだかホッとした』

  『話せなかったけど、気持ちが軽くなった気がする』

そんな言葉や表情が、励みになっているそうです。タッチングは、誰かとつながる“やさしい手段”のひとつ。ただ癒されるだけでなく、深い安心感を届ける力があると私は信じています。」

タッチングは、看護に“やりがい”を取り戻す鍵

「タッチングは、ただの“手の施術”ではありません。
触れることで“安心”や“信頼”が生まれ、人と人をつなぐ力になる。
これは、看護の本質に近いと感じています。」

看護師として働いていた頃、心のどこかで「もっと寄り添いたいのに」という想いを抱えながら、日々の業務に追われていました。でも今、メディカル・タッチ®を通して、やっとその想いを形にできるようになったと感じています。

ご自宅に訪問してメディカル・タッチサービスを行ったり、地域のイベントに出店したり、家族会や施設での体験会を開いたり、ラジオで想いを発信したり。そのひとつひとつが、私にとっては「寄り添い」の実践の場です。

介護や看護だけでなく、家族やパートナーに、仕事の合間や仲間とちょっと触れ合うだけでも、心がほっと緩む瞬間が生まれます。『触れること』『触れられること』が、穏やかな心と日常を育む大切な“時“になると信じています。

これからも『寄り添いケア』を通して、誰かを癒すだけでなく、関わるすべての人が“癒し手”となって、自然と寄り添う力を育んでいけたら。
そんなあたたかな循環を、もっともっと、広げていきたいと思っています。」

素晴らしいですね!植﨑さんのように、タッチングを学ぶことで、「看護の原点に立ち返れた」「やっと自分らしい看護ができている」そんな実感を持たれる方が、いま全国で少しずつ増えています。

寄り添う気持ちを、具体的な形にして伝えること。そのひとつの手段として、メディカル・タッチがあります。

講師としての私は、そんな看護師さんたちのそばで、そっと背中を押すサポーターでありたい!と、いつも願っています。

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この記事を書いている人

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見谷 貴代

看護師/アイグレー合同会社副代表 アロマセラピストから看護師になり、緩和ケア病棟や高齢者施設で5,000人の患者にタッチングを実践。病院や高齢者施設、製薬会社、企業などで研修や講演を実施。大学でも非常勤講師として活躍している。