不安を抱える患者さんの手を握ったり、吐き気を訴える患者さんの背中をさすったことはありませんか。それが看護におけるタッチングです。タッチングは、なでさすることで、患者さんの痛みやつらさをやわらげることができる技術です。タッチングは会話が弾まない患者さんの本音を引き出したり、意思疎通が図れない患者さんに大切に想っている気持ちを伝えるなど、コミュニケーションにも活用できます。
タッチングは、患者さんへ安心と安楽を与え、気持ちに寄り添う非言語的コミュニケーションです。
タッチングはリラックスや不安、緊張をやわらげる効果があります。また、愛情ホルモンと呼ばれる「オキシトシン」や心を落ち着かせる「セロトニン」、やる気や爽快感を感じさせる「ドーパミン」などの神経伝達物質が分泌すると言われています。
また、患者さんにやさしく触ることで信頼関係が深まり、患者さんのケアへの満足度もあがります。
タッチングとマッサージは、目的や効果が異なります。マッサージは血行促進や筋緊張の緩和などを目的に実施します。タッチングはリラックスや不安、抑うつ感の軽減やコミュニケーションを目的に実施します。患者の状態によって、両者は使い分ける必要があります。
個別性の高い患者さんに対して行うタッチングは、心身の状態をアセスメントした上で行わなければなりません。他の看護技術と同じく、根拠をもとに実践する必要があります。
メディカル・タッチは、看護に特化したタッチング技術です。エビデンスに基づいた「タッチングの5原則PARTS」に則り、患者さんの抱える不安、緊張、抑うつなどのつらさをやわらげます。
5分間でハンドタッチの生理的・心理的効果を検証し、リラックス効果や不安、緊張、抑うつ感、疲労感の軽減が実験で検証されています。※
メディカル・タッチは、臨床で5,000人以上のがんや認知症患者さんに提供されています。大学の授業や病院研修でも採用されています。メディカル・タッチを学んだ看護師は、在宅、緩和ケア、介護施設で、患者さんに提供し、信頼関係をきずく助けになっています。
2018年 日本看護技術学会誌に論文掲載「短時間のハンドマッサージによる生理的・心理的効果の検証 ―実施時間の差異によるランダム化比較試験―」
看護ケアとしてのメディカル・タッチの作用や効果など、写真やイラストを豊富に使って分かりやすく解説しています。詳しくはこちらをご覧ください。
タッチング実践のためのアセスメント方法と実践の技術が学べて資格が取れる講座です。
在宅や緩和ケアなどベッド上の患者さんに実施するタッチングが学べます。患者さんの姿勢パターンを覚えるだけで、麻痺や拘縮のある患者さんにも、タッチングができるようになります。さらにタッチングの効果のエビデンスや臨床での実践方法を学んで、資格が取れる講座です。
介護施設、暮らしの保健室、認知用カフェ、患者会などで気軽に使いたい方にお勧めのお試し講座です。座位でのハンドタッチの実技とタッチングの基礎知識が学べます。