看護におけるタッチング ~安全で心地よいタッチングの普及を目指して~

前回のブログでは、タッチングは「心地よさ」がカギとなることをお話しました。タッチングは、患者さんに安らぎをもたらし、心身のリラックスを促します。優しいタッチは患者さんの痛みや辛さを和らげるだけでなく、不安やストレスを軽減し、治療への意欲を高めることもあります。また、タッチングは患者さんとの信頼関係を深める手段としても非常に有効です。

人によって違う触れる時の「やさしさ」

心地よい時間をもたらすために、「触れ方」が非常に重要になってきます。メディカル・タッチは、オリジナルの触れ方『タッチングの5原則』でC触覚線維を活性化します。皮膚感覚を通して脳に心地よい刺激を伝えます。マッサージのように筋肉を揉んだりほぐしたりするものではなく、あくまで皮膚に対して優しく触れるものです。触れる時に大切にしているのが、5原則の中でも触れる時の「力のかけ方」です。

メディカル・タッチを受けた多くの患者さんたちから「羽のように軽いですね」と言われます。とはいえ、触れる時のやさしさの「度合い」は主観的な感覚なので、人によって異なります。

メディカル・タッチ®の実践

触覚をデジタル化したトレーニング機器を開発

医療では、再現性が求められます。今まで触れる技術の多くは、個々の感覚に頼って行われていました。触れる側がやさしく触れていたとしても、触れられた人によっては、やさしく感じないこともあります。力のかけ方が強いと、メディカル・タッチではなくて、マッサージになってしまうこともあります。

そこで私たちは、触れた時の「やさしさ」を見える化するための特別なトレーニング機器を開発しました。2023年には特許も取得しています(特許第7333677号)。この機器を使えば、C触覚線維を反応させる最適な触れ方、触れた時の力加減と速度が簡単に判定できます。

心地よさだけでない、「安全性」を追求したメディカル・タッチ

医療現場でタッチングを行う際には、技術の再現性の他に、安全性も重要になってきます。たとえ触れることに効果があるとしても、患者さんにとって安全でなければ、実施できません。触れる時に、強い力をかけてしまうと、患者さんの身体に負担がかかってしまいます。健康な人には、「気持ちいい」と感じる力加減でも、病気の患者さんには負担になることもあるのです。

メディカル・タッチの際にかかる「手の力」を数値化することは、事故を未然に防ぐことにもつながります。手の力や速さを数値化することで、安全なタッチングの普及を目指しています。

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※トレーニング機器についてはこちらのページをご覧ください。

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この記事を書いている人

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見谷 貴代

看護師/アイグレー合同会社副代表 アロマセラピストから看護師になり、緩和ケア病棟や高齢者施設で5,000人の患者にタッチングを実践。病院や高齢者施設、製薬会社、企業などで研修や講演を実施。大学でも非常勤講師として活躍している。