先日、メディカル・タッチ認定在宅緩和ケア講座の講義がありました。
講義の中で、受講前と受講後で、自分の実践がどのように変わったのかを話してくださったのですが、その言葉がとても印象に残りました。
「講座を受ける前は技術のことしか考えていなかったけど、この講座を受講してからは、患者さんに行う目的や方法、評価まで考えて実践できるようになりました」
この言葉を聞いて、
「そう、それなんです」
と思いました。
この生徒さんは、メディカル・タッチを学ぶ前から、アロマトリートメントやリンパドレナージュなど、患者さんのためにとさまざまな技術を学んでこられました。
決して「何も知らなかった」わけではありません。
むしろ、すでにいろいろな技術を身につけていた方です。
それでも、メディカル・タッチを学んだことで、患者さんへの関わり方に変化がありました。
技術を身に付けることはもちろん大切!
アロマトリートメントやリンパドレナージュなど、手を使って行うケア(手技療法)には、それぞれの目的や方法があります。
もちろんまずは、正しい技術を身につけることは必要です。
「どこに触れるのか」
「どのように手を動かすのか」
「どのくらいの圧で行うのか」
実際にできるようになることは、学ぶ楽しさの一つでもあります。
でも、看護で患者さんにケアを行う時には技術だけではなく、もう一つ大切なことがあります。
それは「この患者さんに何が必要なのか?」と考えることです。
何のために触れるのかを考える
メディカル・タッチを学ぶと、
「この手技を手順通りに行う」
だけではなく、患者さんに
「何のために触れるのか?触れる必要があるのか?」
を考えられるようになります。
たとえば、不安が強く、身体に力が入っている患者さん。
夜になると眠れず、落ち着かない患者さん。
言葉で自分の気持ちをうまく伝えられない患者さん。
そんな患者さんに対して、
「何かできることはないだろうか」
と考えたとき、触れることも看護の選択肢の一つになります。
ただし、誰にでも同じように触れればいいわけではありません。
患者さんの状態を見て、
「今は触れても大丈夫だろうか」
「どこに触れるのがよいだろうか」
「どのような触れ方なら負担にならないだろうか」
と考えます。
そして、実際に触れた後には、患者さんの反応を見ていきます。
触れるケアにも看護の考え方を
これは、触れるケアに限ったことではありません。
看護師が行う清拭や体位変換、移乗、吸引など、どの看護技術も、ただ手順を覚えて行っているわけではありません。
患者さんの状態を見て、目的を考え、その人に合わせて実践し、実施した後の反応を確認する。
看護では、当たり前に行っていることです。
「触れる」という技術にも、看護師としていつも行っているこの視点を重ねていく。
今回の受講生さんは、そこが変わったのだと思います。
触れることが看護の選択肢の一つになる
緩和ケアや在宅の現場では、
不安が強く、身体に力が入っている患者さん。
夜になると眠れず、落ち着かない患者さん。
言葉で自分の気持ちをうまく伝えられない患者さん。
そんな場面に出会うことがあります。
もちろん、触れれば必ず安心するということではありません。
患者さんの状態によっては、触れない方がよいこともあります。
だからこそ、
「今、この患者さんにできることは何だろう」
と考えたときに、「触れる」という選択肢を持っていることが役に立ちます。
そして実際に触れてみたら、患者さんの表情が少しやわらいだ。
身体の力が少し抜けた。
会話が始まった。
そんな小さな変化に気づくこともあります。
自分の関わりで、患者さんの反応が変わった
看護師として仕事をしていると、
自分が関わったことで、患者さんに何か小さな変化が見えたとき、
「少し楽になったのかな」
「安心してもらえたのかな」
と感じることがあります。
私は、そういう瞬間に、看護のやりがいや面白さがあるのではないかと思っています。
メディカル・タッチを学ぶことで、そんな「できること」の一つに、触れることが加わっていく。
今回の受講生さんの変化を聞いて、改めてそう感じました。
私自身も、緩和ケア病棟で患者さんに触れる中で、触れることに興味を持ったことが始まりでした。
患者さんに触れていると、
「夜、眠れないんです」
「これからどうなるのか不安です」
と、こちらから何も聞いていないのに、患者さんの方から話してくださることがありました。
「触れることには、何かあるのかもしれない」
そう思ったことが、その後、看護師になり、触れるケアについて研究するきっかけになりました。
そして今、その経験を看護師さんたちに伝えています。
触れ方だけでなはく、その先へ
今回の生徒さんが話してくださった、
「受講前は技術だけだったけれど、受講してからは、目的や方法、評価まで考えて実践できるようになった」という言葉。
この変化が、メディカル・タッチ認定講座で私がお伝えしたいことを、そのまま表しているように感じました。
触れ方を覚える。そして、その先に、
「この患者さんには、今、何ができるだろう」と考える。
そして、触れることを看護の中で活かしていけるようになる。
もし、「自分の看護に、触れるケアを取り入れてみたい」
と思われたら、メディカル・タッチ認定講座について、ぜひ一度ご覧ください。
患者さんにできることを、もう一つ。
その選択肢を一緒に増やしていけたらと思っています。
「アロマトリートメントを学んだことがある」
「リンパドレナージュを学んだことがある」
「ハンドマッサージなどを学んだことがある」
という方にも、新しい技術をもう一つ増やす、というだけではありません。
今まで身につけてきた「手を使ったケア」を、患者さんへの看護の中でどう活かしていくのか。そこを一緒に考えていく学びです。
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