10月末に、奈良親子レスパイトハウスの親子遠足で、障害のある子どもさんとそのご家族にメディカルタッチをさせていただきました。
奈良親子レスパイトハウスは、東大寺の境内(旧職員宿舎)にあり、庭からは若草山や大仏殿も見える特別なロケーションです。
この施設は、一時的な介護を肩代わりする従来の「レスパイトサービス」ではありません。親子・家族が一緒にゆったりとした時を過ごし、「介護する者」と「介護される者」の関係から解放されて親子が共に生きることの意味と喜びを再発見する機会として、親子レスパイトを提供しています。
介護のサポートから料理、庭づくり、薬草園の手入れなど、全ての活動は300人ものサポーターが「それぞれの得意」でこの場を支えています。
レスパイトハウスに行く途中で、たくさんの鹿に逢いました。
レスパイトハウスの入り口で、メディカル・タッチ認定の岸本さんと田坂さんと。
7月の支援学校での講演もお手伝いくださったお二人です。
元々が宿坊だった場所なので、建物にとても風情があって居るだけでも癒されます。
奈良時代、東大寺では光明皇后の発案によって、病気や障がいのある人を受け入れる「施薬院(せやくいん)」が設けられました。いわば“日本の病院の原点”とも言える取り組みです。
その精神を現代に継ぐために薬草園が作られたそうです。たくさんの和や洋の薬草が元気に育っていました。
奈良の食材×学生ボランティアの“心のこもった食卓”
この日は、3組のご家族が参加された“親子遠足”の日でした。
奈良の秋を楽しむがテーマの会で、奈良女子大学の学生さんたちが一生懸命考えた献立で奈良の秋の味覚を堪能しました。私も認定さんたちも調理のお手伝いから参加しました。
お料理もですが器も素晴らしく、おなか一杯になるまで頂きました!
親子遠足で届けたタッチングケアの時間
ランチを楽しんでいただいた後、一家族15分程度でメディカルタッチ(ハンド・フット)を受けていただきました。
今回、岸本さんと田坂さんと共に大活躍してくださったのがメディカル・タッチ® 在宅緩和ケアコース認定の江本さんです。「フットタッチ」を提供してくださったことでご家族のリラックスが一段と深くなっていくのを、肌で感じました。
江本さんは、三重県から参加してくださいました。江本さんは介護職から高齢者の方の身体のケアがしたくて、あん摩マッサージ・指圧師・鍼師灸師の資格を取られました。在宅で患者さんたちの身体の状態に合わせてタッチングケアも取り入れています。
印象的だったのは、障がいのあるお子さんとお父さんが、並んでお布団に寝転がっている姿です。お父さんも子どもさんもタッチを受けて「気持ちいい」という表情を浮かべ、二人が笑顔で見つめ合っていた瞬間が忘れられません。
また、ボランティアで親子参加されていた小学生の男の子も「足もやって!腕もやって!」と喜んで次々とタッチを受けてくれて、触れられる経験そのものが “嬉しい体験” になることを改めて感じました。
そして、美味しいお料理を作ってくださったボランティアさんたちにも感謝の意を込めてハンドタッチを受けて頂きました。
看護師としての経験が活かされるタッチングケア
今回ご一緒したメディカル・タッチ認定看護師の岸本さんは、これまで医療的ケア児の現場で長年看護をしてこられた経験をメディカル・タッチという新しい形で、ご家族の安心のサポートへとつないでおられます。
障害のある子どもさんへのタッチングも、状況に合わせて臨機応変な対応ができるのは、看護師としての経験があってこそできることです。“いままで積み上げてきた看護の経験” があるからこそ、触れるケアはより深く活かせる。
メディカル・タッチは、看護の力を“もうひとつの方法”で届けられる技術です。
看護師ができる家族支援:メディカルタッチ® 在宅緩和ケアコース認定者の活動
メディカル・タッチ認定講座は、“技術を習って終わり” ではありません。
現場で導入・実践する認定者が増えていくことが価値だと私は思っています。
医療職だからこそできる、相手を尊重しながら、想いに寄り添う触れ方があります。
この活動は、メディカルタッチ認定者によって支えられています。講座を通じて、こうした「家族が息をつける時間」をつくれる人を増やしたいそんな想いで活動しています。
東大寺の旧宿坊という原点の場から── 触れるケアを“看護技術”として深めたい看護師の仲間を、いつでも歓迎しています。




