先日、メディカル・タッチ認定講座を受講中の看護師さんとタッチングの話で盛り上がりました。
その中で、思わず「うーん、なるほど!」としみじみ頷きたくなるような“新しい発見”があったのです。
その看護師さんは普段、ドクターの診察補助をしています。
「診察の時に先生に身体に触れてもらうと安心する、と患者さんからよく言われるんです。」」
たしかに昔の医師は、のど→胸→腹部…と順番に丁寧に触診をしていました。
そういえば私の父(内科医)もそうでした。
私が小さい頃、具合が悪い時は無言でそっと触れて確かめてくれたことを思い出します。
医師にとっては“観察のため”に触れている。
しかし患者さんにとってはその行為は、
“安心につながる手” だったのだです。
寄り添う前に、まず受け止めるタッチがある
タッチング(触れるケア)とは、「寄り添うことを形にしたケア」
と、私は説明してきました。
でも今回の対話で
寄り添うために触れる “その前に”
受け止めるタッチ があることに気づきました。
例えば
「痛い」と訴えている患者さんに
「この辺りですか?」と手を当てて確認する。
この “確認のために触れる” 行為自体が
「あなたの訴えを受け止めています」 と伝えるタッチになるのだと改めてわかりました。
これは医師だけではありません。
看護師にもできるタッチです。
講師としても学びをもらえる瞬間
今回の気づきは、私が学びを伝えて、 受講生が理解した、という一方向ではありませんでした。
私自身も同時に気づきをもらったのです。
小さい頃、父の診療所は私にとって遊び場のような場所でした。
学校が終わると、よく受付を手伝いながら、患者さんに触れて診る父の姿を間近で見ていました。
その経験が、知らず知らずのうちに私の看護観やタッチングへの関心に影響を与えていたのだと思います。
あの記憶が今、生徒さんとの対話の中でつながる。
こういう瞬間は、本当に講師冥利に尽きます。
認定講座を通して、色々な看護師さんとタッチングについて語り合えることができて、
私は幸せです。
改めて、寄り添う前に受け止めるタッチを大切に
生徒さんのお話をきっかけに、私は “タッチ=寄り添うための行為” という認識の手前に
まず、受け止めるためのタッチが在る
という事実を再確認しました。
そしてそれは、医師だけができるものではなく、
看護師の私たちも、日々の場面で自然に行っているはずの行為です。
「ここ痛むんですね」
と、その訴えにそっと手を当てる。
ただそれだけで、患者さんの心の中には
“受け止めてもらえた” という安心が生まれる。
その “最初の一手” が入ってはじめて、
寄り添うためのタッチケアが生きてくるのだと感じました。
今回の気づきは、講師として教える側だから得られるものではなく
生徒さんとの会話の中で、一緒に深まっていくものなんですね。
タッチは「寄り添う」ことが目的
そう思っていたけれど
寄り添う前に、まず受け止める。
これから、もっと言語化して
認定講座の受講生の皆さんに、伝えていきたいと思います。
そして、その “最初の一手” を確かに形として扱えるのが
まさにメディカル・タッチなのだと、改めて感じました。
寄り添う前に、まず受け止める
その入り口に、メディカル・タッチがある
私はそう、確信しています。
メディカル・タッチには、心地よい触れ方の5原則があります。
この 患者さんを“手で受け止める” を、根拠をもって学びたい方は、
メディカル・タッチ認定講座で、一緒に深めましょう。




