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「何かしてあげたい」でも、何をすればいいのかわからなかった
「終末期の患者さんに、
看護で何かしてあげたい——。
そう思って、何かできることがないかとネットを探して来ました。」
体験会や講座に参加してくださった看護師さんから、そんな声をよくお聞きします。
ケアをしたいのに、何もできない。
そんなもどかしさを多くの看護師さんが
一度は抱いたことがあるのではないでしょうか。
そして、いざアロマなどの技術を学んでも、「患者さんの痛みの緩和のためにマッサージをしたいけど、時間がない」
「どのタイミングで実践すればいいのかわからない」
そんな声もよく聞かれます。
でも、本当に、何もできないのでしょうか?
触れるケアは、いつもの看護の中にある
患者さんの脈を測るとき、
体を拭くとき、
点滴のルート確認をするとき
看護師の仕事のほとんどに、
「触れる」という行為が含まれています。
でも、私たちはその“触れる”ということに、どれほどの意味があるかを、あまり深く考える機会がないのかもしれません。

いつもの触れ方をちょっと変えるだけでタッチングケアになる
私がメディカル・タッチ認定講座でお伝えしていることは、タッチングケアには「特別な道具や時間は必要ない」ということです。
タッチングケアは、普段の看護の中でできる技です。
脈を測る時に患者さんの腕に触れる時や
身体を拭くと時に
その時の手の使い方をちょっと意識するだけで脈を測りながら、身体を拭きながら、同時に「心地よさをもたらす」ことができるようになります。
明野伸次先生の論文では、日常的な看護行為に伴う“手の接触”が、患者さんの不安や緊張を軽減する効果があることが示されています(北海道医療大学看護福祉学部学会誌, 2016)。
つまり、特別なことをしなくても、
“ふだん行っているケアの中の触れ方”が、患者さんの心と体に良い影響を与えているのです。
“いつもの触れ方をちょっと変えるだけ”で、患者さんにとってのケアの質がぐっと上がることがあるのです。

寄り添いたいという気持ちに手を添える
メディカル・タッチは、
「時間がない」「忙しい」現場だからこそ取り入れられるケアです。
なぜなら、看護師はすでに患者さんに“触れて”看護しているからです。
ただ、その手の使い方を少しだけ“意識”することで、普段の看護の手が患者さんに安心感をもたらす手になります。

メディカル・タッチ認定講座では、
患者さんに安心と心地よさをもたらす“触れ方”を、実践で学んでいただけます。
「今までやっていたことに意味があったのですね」
と講座を受けた看護師さんたちからよく言われます。
「何もできなかった」と思っていたその瞬間も、看護で“触れる手”は、患者さんに安心や心地よさを届けていたのかもしれません。
メディカル・タッチを看護に取り入れることで普段の看護を通して患者さんに安楽をもたらすことができるようになります。
メディカル・タッチを知って、学んで“触れる”という、当たり前のケアの中に、「看護の力」があることに、改めて気づいていただけたら嬉しいです。