介護施設でハンドタッチを体験実習~認知症・高齢者への施設実習レポート~

先日、介護施設で
マシュマロ・タッチ認定講座の受講生さんたちの “最初の一歩” の現場に立ち会いました。

講座で学んだハンドケアを
実際のご利用者さまへ届ける日です。

マシュマロ・タッチ認定講座は「学んで終わり」ではありません。
受講後の “現場実習” や “導入のフォローアップ” など、最初の一歩を踏み出すサポートをしています。

今回の実習は、マシュマロ・タッチで実施しましたが、東京在住の認定さんからのご紹介で実現しました。

介護向けのマシュマロ・タッチ認定についてはこちら

私は技術指導として同行しました。

認定講座で学ぶ“応用編”が、実は介護施設の現場で最も使われる!

現場では、基本で習うタッチだけでは対応できない場面がたくさんあります。

今回の施設では、認知症の方、脳梗塞後遺症の方、拘縮や麻痺のある方など、様々な方がいらっしゃいました。

タッチの途中で歌い出されたり、急に腕を出したり引っ込められたり…
認知症の方は、そもそも

「受けたい、受けたくない」 の意思表示自体が曖昧なこともあります。

また、麻痺や拘縮がある方の場合は
無理に腕を伸ばそうとしたり、掴むような動かし方は一切しません。
その方が今、最も「楽」でいられる腕の角度や姿勢のままタッチを行います。

さらに、高齢者の皮膚は薄く、傷つきやすい状態です。

だから
皮膚表面にそっと触れる「極めて軽いタッチ」で寄り添う

ことがとても大切になります。

ハンドマッサージは、筋肉に刺激が届く“しっかり触れる”技術ですが、

マシュマロ・タッチは 皮膚表面の神経に働きかける“羽のような軽さ”が特徴です。

経験や資格に応じて、看護師資格のある講師が見守りサポート

今回は、マシュマロ・タッチ認定さんたちの体験実習でした。介護の資格のある方や一般の方も参加されました。

認定さんたちは最初、とても緊張していて
そのドキドキがこちらにも伝わるほどでした。

それでも、ご利用者さまと真剣に向き合う姿勢は、本当に美しかったです。

その姿を見ると、私自身も “初心” を思い出します。

私が何より大切にしているのは

ご利用者さまの安全を守りながら、大切に触れること。

触れるという行為は、相手の心や身体に影響を与えます。

たとえ“初めての実習”でも
ご利用者さまにとっては「一対一の本番」です。

今日は外部から来た、初めて会う人から触れてもらうのですから
緊張があって当然です。

私は、利用者さまの表情・体の動き・皮膚の様子を一緒に見ながら、

力加減、腕の支え方、手の位置など
その都度、その場に合わせてフォローします。

そばに私がいるから、安心して目の前のタッチにだけ集中してほしい。

そして少しずつ

「できるかもしれない」
→「私にもできた!」

その実感につながっていけば、と願っています。

  

触れ合うと、自然と笑顔が生まれます

触れ合うことで
ご利用者さまの表情はやわらいでいきます。

笑顔になったり
お話が弾んだり
「気持ちがいいね」と言ってくださったり。

最初は「受けたくない」と仰っていた男性利用者さんが、

他の方が気持ちよさそうに受けている様子を、じっと見ておられて

最後の最後に、私のタッチを受けてくださいました。

 

終わった瞬間、

「有難うございました」

はっきりと、大きな声で言われたのです。

職員さんたちが驚かれるほどの変化でした。

認定さんたちと一緒に、私もドキドキハラハラのあっという間の2時間でしたが

後日、利用者さまやご家族様からとても好評だったとお聞きしました。そしてこの日の様子を施設の会報にも掲載していただきました。

習って終わりじゃない、明日の現場で使えるタッチへ

マシュマロ・タッチ認定講座では、
講座後のフォローアップとして、介護施設に同行して技術指導を行ったり
導入のお手伝いもしています。

学んだことを
“現場で使える経験” に変えていきます。

ハンドマッサージと比べると刺激が少ないからこそ、
高齢者・認知症の方に安心して使えるタッチケアです。

今回の実習は、
認定さんが勇気を出して一歩を踏み出したからこそ実現しました。

その「一歩目」が一番、勇気がいります。
私自身も、20年前に緩和ケア病棟でアロマのトリートメントのボランティアを始めた時がまさにそうでした。

右も左もわからない中で
「本当にこれでいいのかな…」と不安な気持ちで現場に立っていました。


あの時、背中をそっと支えてくれる人がいたら
もっと早く、もっと自信を持って動けたと思います。

だからこそ、今の私は
あの時の私が欲しかったサポートを
今の認定さんにお返ししたいと思っています。

最初の一歩を踏み出せるように。
私たち講師は、全力で伴走します。

体験実習はマシュマロ・タッチだけでなく、メディカル・タッチも行っています。

今回、私たちを快く受け入れてくださった施設の皆さま、
本当に有難うございました。
貴重な機会を頂けたことに心から感謝しております。

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この記事を書いている人

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見谷 貴代

看護師/アイグレー合同会社副代表 アロマセラピストから看護師になり、緩和ケア病棟や高齢者施設で5,000人の患者にタッチングを実践。病院や高齢者施設、製薬会社、企業などで研修や講演を実施。大学でも非常勤講師として活躍している。