触れるだけで伝わる安心~タッチケアが育む親子の絆~ 【支援学校での講演レポート】

子育ての毎日は、目の前のことで精一杯。
特に、医療的ケアが必要だったり、発達に特性のあるお子さんを育てている保護者の方にとっては、なおさらではないでしょうか。

そんな日々の中で、子どもに“触れる”という何気ない行為が、安心を届け、親自身の気持ちにもいい影響があることをご存じでしょうか?

先日、支援学校から講演のご依頼がありました。今回は2日間にわたって、保護者の方向けの講演をさせていただきました。

1日目は、香り(アロマ)をテーマに「日々の暮らしの中で、親自身がリラックスすることの大切さ」を、そして2日目は「触れることの力」を中心にお伝えしました。

とくに2日目は、タッチングケアを通して、親子の安心や信頼を育むふれあいの大切さを感じていただける時間になりました。

毎日の“ふれる”が、安心のメッセージになる

毎日、子どもの世話やケアの中で、
お母さん・お父さんは子どもに自然とたくさん“触れて”います。
抱っこしたり、身体をさすったり。
それは当たり前のことのように思えるかもしれません。

でも実は、その“触れる”こと自体が、
子どもにとっては「ことば」になっているんです。

「大丈夫だよ」「ここにいるよ」「あなたが大切だよ」
そんなメッセージが、手を通してちゃんと届いているのです。

講座では、そんな“タッチング”の力をお伝えしながら、実際に触れ合いを体験していただきました。

タッチング体験で会場は一気に和やかに!

後半では、実際にペアになってマシュマロ・タッチを体験していただきました。

会場には、親子でやご夫婦で参加された方もおられました。「気持ちいいね」と笑顔がこぼれて
ふれあいの時間をとても和やかに過ごされていました。

タッチング体験では、触れられることの心地よさが伝わると、自然と笑顔がこぼれたり、
会話が弾んだりします。今回も終わりの挨拶の直前まで、賑やかな話し声が会場中に響いていたのが印象的でした。

「触育(しょくいく)」という考え方をご存じですか?

私たちは「触育」として、日常のちょっとしたふれあいが子どもの安心の土台になることを広めています。子育て中の方には、ご自宅でも取り入れられるやさしいタッチのヒントを子育て家庭、支援の現場、学校などに届けています。どんな子どもにも、やさしく触れることはできます。特別な技術はいりません。
「今、目の前の子に手を添える」それだけで、十分です。

子どもに安心の土台をつくりたい方へ。
ふれあいのケアを学びたい方へ。
触育の講座や研修を、地域や現場に合わせて行っています。

親の安心が、子どもの安心につながる

講演後には校長先生から、
「保護者の皆さんの表情がやわらかく、和やかになっていた」
「ほんのひとときでも一息つける時間をつくってくれたことに感謝しています」
と、温かいお言葉をいただきました。

タッチングケアは、子どものためだけではありません。親自身の心もゆるみ、幸せホルモンが出て、リラックスにつながります。
「まずは親自身が安心すること」それが子どもさんの安心にもつながる第一歩です。

今回の公演が保護者の皆さんに、ほんの少しの安心を届けられていたら嬉しいです。

 

今回の会場は、偶然にも私が7年前に卒業した看護を学んだ母校・神戸大学のすぐそばでした。次に戻ってくる時は、看護で学んだことで何か役に立ちたいと思っていたのですが、その願いが一つ叶いました。今回のこの講演が、54歳最後の仕事になりました。55歳は、’GOGO’の年。触育の普及のために、これからも、どんどん前に進み続けます!

 

よく読まれている記事

この記事を書いている人

Picture of 見谷 貴代

見谷 貴代

看護師/アイグレー合同会社副代表 アロマセラピストから看護師になり、緩和ケア病棟や高齢者施設で5,000人の患者にタッチングを実践。病院や高齢者施設、製薬会社、企業などで研修や講演を実施。大学でも非常勤講師として活躍している。