日本看護研究学会第51回学術集会 in 金沢ー看護における「触れるケア」の可能性を実感!ー

8月30日(土)・31日(日)、日本看護研究学会第51回学術集会にて、メディカル・タッチのブースを出展しました。
今年は地元・石川県での開催で能登の地震を経験した私にとって、こうしてまた石川県に多くの先生方や看護師の皆さまが集い、看護の未来を語り合えることは、胸に迫るものがありました。

ブースには2日間で延べ100名近くの方が立ち寄り、実際にメディカル・タッチを体験してくださいました。
最初は「こんなに軽くていいの?」と驚かれる方も多かったのですが、体験後には

  • 「気持ちいい」

  • 「思っていたよりずっと優しい。普段自分がしているタッチよりも優しい。」
  • 「気持ちよくて眠くなる」

  • 「リラックスできました」
  • 「ケアしながら相互に癒やされるのが良いですね。」

といった声を数多くいただきました。

認定看護師さんたちが手伝ってくれました

今回の出展には、関西からメディカル・タッチ認定看護師の大西さんが2日間にわたりサポートに来てくださいました。
大西さんは訪問看護の現場でタッチケアを取り入れており、その実践を紹介すると、多くの方が熱心に耳を傾けてくださっていました。

2日目は小松市にある私の実家の介護施設、デイサービス「まそら」と看護所規模多機能「いちえんそう」の認定をとったスタッフさんたちも加わりブースを盛り上げて頂きました。

また、今回の学会に合わせて「認定看護師の活動紹介チラシ」も作成し、配布させていただきました。実際の現場での活用事例があることで、「私たちの現場でも取り入れたい」と関心を寄せていただけたことは、大きな励みになりました。

看護におけるタッチの力 ― 安心と信頼を生むケア

メディカル・タッチは、マッサージのように筋肉を刺激するものではなく、触覚にある感覚受容器を刺激して脳にリラックスを促すケアです。また、手順通りに施術を行うのではなく、日常の看護の中で「患者さんに触れるとき」に、心地よいと感じる触れ方を大切にしています。メディカル・タッチには触れた時に患者さんが子心地よいと感じる触れ方の5原則があります。

心地よいタッチでそっと触れることで、治療や検査など辛いことの多い入院生活の中に、安心と安楽のひとときがもたらされます。
そして、“心地よいことをしてくれる人”と感じてもらえることが、患者さんと看護師との信頼関係を築く大切なきっかけになるのです。


この説明に、参加者の皆さんも深くうなずき、納得され

「患者さんにとっても良いかもしれない」

「看護学生は“触れる経験”が少ないので、教育の一環として有意義」

「この程度の優しいタッチなら循環動態の変化が少なく、ターミナルケアにも使えそう。」

といった声をいただきました。

再会と交流集会での新たなつながり

ブースは終始にぎやかで、7年ぶりに大学の恩師の先生とも再会することができました。私がここまでメディカル・タッチを続けてこれたのも本当に先生のお陰だと思っています。論文を書くのはとてもつらかったのですが、先生が親身になってサポートしてくださいました。


さらに、2日目の朝には「触れるケアの交流集会」も開催しました。2019年に看護科学学会で交流集会をした時と全く同じ会場で、驚きましたがご縁を感じました。看護大学で教鞭をとる高校の同級生が、能登での看護ボランティア活動で毎回タッチングケアを取り入れている実践を発表してくれました。
レクリエーション活動の後に、毎回、タッチングケアをされるそうですが、毎回、大人気だそうです。継続してタッチを受けることで顔なじみになり、信頼関係が深まっていく― その言葉に、触れるケアの可能性を改めて実感しました。

交流集会には、昨年、参加して興味を持たれた方も再び参加してくださり、またまた7年ぶりに再会した看護大学の講師の先生も来年から交流集会に新しいメンバーに加わってくださることになりました!来年も楽しみです。

触れるケアを教育と実践につなげて

今回の学会では、タッチケアの持つ力に多くの方が共感してくださいました。ブースを訪れた方々の関心は、タッチそのものの効果よりも「臨床での活用方法」や「教育への実装」に高く向けられていました。

「講座を受けて学びたい」
「授業に取り入れてほしい」

そんな声を数多くいただき、看護教育・臨床実践の両方で必要とされていることを実感しました。

今回の学会では、看護のDX化に関する発表が多く見られました。技術の進歩によって業務効率は大きく向上しています。

しかし、その一方で、患者さんに直接触れる時間や“安心・安楽をもたらす手のぬくもり”は、デジタルでは代替できません。
タッチケアは、機械やデータにはできない看護師の手から伝わる安心感や信頼関係を生むケアとして、これからの看護においてますます重要な役割を果たします。

メディカル・タッチ認定認定講座では、臨床でも教育でも活かせる技術として、こうした「人と人をつなぐ看護の力」を体系的に学ぶことができます。
DX化が進む時代だからこそ、メディカル・タッチが「触れる」という看護の本質を、あらゆる看護の場に届けていきたい、と改めて感じました。

ブースを訪れてくださった皆様、有難うございました。私自身も触れるケアについて見つめ直すとてもいい機会になりました。

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この記事を書いている人

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見谷 貴代

看護師/アイグレー合同会社副代表 アロマセラピストから看護師になり、緩和ケア病棟や高齢者施設で5,000人の患者にタッチングを実践。病院や高齢者施設、製薬会社、企業などで研修や講演を実施。大学でも非常勤講師として活躍している。