触れることは、接遇である ― ナースカフェで再確認したこと

最近、ナースの働き方が少しずつ広がってきていると感じています。

病院や施設という枠を超え、
自分の想いを軸に看護を届けるナースが増えてきました。

保険外看護やプライベートナースという働き方も、
特別なものではなくなってきました。

先日、「ナースカフェ起業部」という会で、
起業の経験についてお話しさせていただきました。

会場は、メディカルタッチ認定看護師の亀村あゆみさんが運営されている

新しくオープンした、ゆめみ堂という素敵なレンタルサロンです。

亀村さんの呼びかけで、大阪、愛媛、大分、岡山、静岡、千葉、愛知など、

全国から約30名のナースが集まりました。

「自分のやりたい看護を形にしたい」

そんな想いを持ったナースが、これほど多くいることに大きな希望を感じました。

夢を語る場所で、リアルを話しました

保険外看護で活躍されているかめライフサポートの亀村さんのお話からは、

亀村さんが患者さんに必要とされている存在であることがひしひしと伝わってきました。

そして、続いてお話された株式会社ケ・セラ・セラの代表、江上さんのお話も

看護の未来が広がる、本当に素晴らしい内容でした。

そのビジョンに、会場は大きな希望に包まれていました。

 

そんな中で私は、少し違う役割だったかもしれません。

うまくいかなかったこと
遠回りしたこと
迷いながら進んだ時間

きれいな成功談ではなく、
「現実」の話をしました。

けれど、思うのです。

遠回りしたからこそ、今、伝えられることがある。

触れるケアも、起業も、順調だったわけではありません。

それでも続けてこられたのは、
目の前の患者さんが「安心した」と言ってくださった、その瞬間があったからです。

そしてもう一つは、看護師という視点だけでなく、

経営者として物事を見るようになったことです。

感情だけでは続かない。想いだけでも広がらない。価値をどう届けるのか。
どうしたら“選ばれる存在”になれるのか。

その視点を持てたことで今につながっていると感じています。

プライベートナースに必要とされる接遇

今回、特に印象に残ったのは、
私の前に発表されたプライベートナース事業をされている

株式会社ケ・セラ・セラの江上代表のお話でした。

その江上社長が何度も伝えていたのは、

プライベートナースは、「看護師である」前に
“安心を届ける存在”である、ということです。

制度の中で働くのではなく、お客様から直接選ばれる働き方。

だからこそ問われるのは、技術の高さだけではありません。

「この人にお願いしたい」と思っていただけるかどうか、ということです。

その土台にあるのが「接遇」です。プライベートナースは、「接遇一択」である。

その言葉に、私は深くうなずきました。

なぜならそれは、私がずっと大切にしてきた考えと重なったからです。

触れることは接遇である

私は以前から触れることは、接遇である、と伝え続けています。

触れ方には、その人の在り方が表れます。言葉よりも先に伝わるものがあります。

安心は、技術の正確さだけでは生まれません。

触れられた瞬間に「この人なら大丈夫」と感じてもらえることが大切です。

それこそが、これからのナースにとって
大切な力になると、私は考えています。

これからの時代は、「資格がある」ことに加えて、
「この人にお願いしたい」と思っていただける力が
より大切になっていくのではないでしょうか。

患者さんにどれだけ安心を感じてもらえるか。

触れられた瞬間に、緊張がほどけるかどうか。

その体験が、信頼の土台となると思います。

ノンバーバル・コミュニケーションとしての触れるケア

触れることは、ノンバーバル・コミュニケーションです。

私たちは丁寧な言葉で患者さんに話しかけます。
敬意をもって声をかけることの大切さを知っています。

それと同じように、丁寧に触れることもまた、安心を届ける行為です。

メディカル・タッチでは、心地よさを脳に伝える「C触覚線維」に働きかける触れ方を大切にしています。

ゆっくりと、一定の圧で優しく触れる。

その触れ方が、安心感や心地よさを生み、
「この人なら大丈夫」と感じてもらいやすくなります。

気持ちよく触れてくれる人に、患者さんは無意識のうちに安心感を抱きます。

そして、「またこの看護師さんにお願いしたい」と思うのです。

私はそこに、看護における大きな可能性を感じています。

触れることは、言葉を使わない接遇です。

感覚やセンスではなく、理解し、磨くことのできる技術なのです。

ぶれない軸を持つということ

江上代表の方のお話を聴きながら、私はとても励まされました。

接遇が大切だと思っていたのは、私一人ではなかったと感じたからです。

プライベートナースの事業を信念を持って事業をされている姿、

そして「安心を届ける」という軸を、ぶれずに貫いている姿勢。

その在り方そのものが、とても印象に残りました。

そして私もまた、ぶれない軸を持ち続けよう、と強く思いました。

「触れることは、接遇である。」

まだまだ、この考えは十分に知られていません。けれど、ちょうど今から1年前に

医療接遇を専門に扱う医療接遇ホスピタリティ協会 でも、

「触れる接遇」を新しい接遇の形として認めていただき、

講師として登録していただきました。

それでもなお、触れることが接遇であるということは、

まだ広く浸透しているとは言えません。

だからこそ、伝え続けたいのです。

私たちが日々、当たり前のように行っている患者さんに触れるという行為が

触れ方次第で、安心感も、信頼感も、大きく変わるかもしれないということ。

ナースカフェでたくさんの刺激をいただき、改めて、自分の軸を大切にしながら
一歩ずつ進んでいこうと思えました。

また今日から、丁寧に。

亀村あゆみさん、貴重な機会を有難うございました。メディカル・タッチの認定さんたちは、

素晴らしい方ばかりで誇りに思います。

 

そして、ナースカフェで出会ってくださった看護師の皆さん、有難うございました。

最高に看護に熱い、メンバーでした。みんなで夢に向かって突き進みましょう!

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この記事を書いている人

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見谷 貴代

看護師/アイグレー合同会社副代表 アロマセラピストから看護師になり、緩和ケア病棟や高齢者施設で5,000人の患者にタッチングを実践。病院や高齢者施設、製薬会社、企業などで研修や講演を実施。大学でも非常勤講師として活躍している。