患者さんの腕や脚に触れようとしたとき、
ふと手が止まる瞬間はありませんか。
「触れていいのかな」
「今は、触れるタイミングではない気がする」
その迷いは、
何かができていないから、生まれるものではありません。
触れるか迷うことそのものが、
すでに看護なのだと、私は思っています。
私がまず確かめていること
触れる前に、私は一つだけ自分に問いかけています。
「今の私は、“何かしてあげたい”気持ちが先に立っていないだろうか」
つらさや不安を前にすると、
「何かできることはないか」と思うのは自然なことです。
でも、その思いが強くすぎると、
触れることが
“ケア”ではなく、“行為”になってしまうことがあります。
触れる前に、立ち止まって考えていること
今、この瞬間に届けたいのは何なのか。
安心なのか。
気持ちをやわらげることなのか。
それとも、ただそばにいる感覚なのか。
ここが自分の中で定まると
触れ方は、看護として自然なものになります。
逆に、ここが曖昧なままだと、
患者さんの反応に戸惑ったり、
「これで良かったのだろうか?」と後から迷いが残ることもあります。
触れたからといって、
すぐに言葉や表情の変化が返ってくるとは限りません。
その“間”を、
急がずに待てる状態に、
自分は今いるだろうか。
看護師自身の状態も、
触れるケアには大きく影響すると感じています。
触れるケアを実践するために
触れる前に、
こうした小さな確認を経て、
自分の中で「これでいい」と思えると、
タッチングは
無理に行うものではなく、
その人に向けて、自然に生まれるケアになります。
実際の現場では、麻痺や拘縮、認知症、終末期など、
さらに判断が必要な場面も多くあります。
「どこを見て、どう考え、どう触れるのか」を
言葉と実技の両方で整理して学べるのが、
メディカル・タッチ 認定在宅・緩和ケア講座です。



